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最終バス乗り過ごしたあとに

アラフォーのおっさんが書くあれこれ。

リンドバーグ その1(89年・結成からブレイク前夜)

どうも、こんにちは。お久しぶりです。

今年に入ってまだ1記事しか書けてないのに(しかもそのもう1つ前からは半年経っている…)もう5月になろうとしている事に恐怖を覚える今日この頃です。しかも平成も終わっちゃうよ。来月から令和ですとか言われても違和感半端ないですね。

 

という事で今回は今年でデビュー30周年を迎えたリンドバーグについて数回に渡って書こうと思います。今回は結構長文になりますが自分の思い出と当時の記憶の中の情報を元に大人になった今の視点でのレビューみたいなものを加えつつ、細かく書いてみます。

 

リンドバーグと言えば自分が最初にハマったバンドで、初めて買ったアルバムも初めてのコンサートもリンドバーグでした。

きっかけは小学生の頃大好きで観ていたダウンタウンウッチャンナンチャンの伝説の番組「夢で逢えたら」でした。ちょうど中学に上がった春にオープニングがリンドバーグの「BELIEVE IN LOVE」で本人達も出演していたのを覚えています。



 

そして早速その曲を買いに行こうとCD屋に出向き彼らのシングルを探したものの、まだ小学校を出たばかりの小生は英語のタイトルが全く読めずどれが目当ての曲か分からなかったのです。取り敢えず新作コーナーにあったシングルを手に取り訝しみながらも購入、そして帰宅してラジカセにセットしてみると...

 

「ち、違げぇじゃん...」

 

不安になりながらも購入したのは「GLORY DAYS」という全く違うバラード。曲名違いどころかそのGLORY DAYSすら読めない無知な子供だった当時の自分にとってシングル1枚の900円は痛過ぎる損失だった…(だってまだ英語習いたての「アイアム・ナンシー」レベルだったから…)。でも救いだったのは曲が良くて直ぐに好きになった事。この曲は卒業した後に別れた彼氏の事を思う彼女の別れの歌なんだけども、

卒業証書と引き換えにした

思い出にさようなら

GLORY DAYS 失うものがあるから手に入れるものがある 

                                                                                                  (GLORY DAYSの歌詞より)

ちょうど小学校を卒業したばかりだったその頃の自分にドンピシャな言葉で(勿論恋愛云々とは無縁だったけど)、「失うものがあるから手に入れるものがあるかぁ、深いなぁ」なんて子供心にジーンと響いたのでした。

 

 

それから暫くしてCD屋に行くと今度は見た事のないシングルが目に入ってきた。しかもシールで「CX系夢で逢えたら・オープニングテーマ」と記されている。英タイトルが読めないという失敗を経たものの、やっと念願の曲を手にする事が出来たのでした。

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(余談) 後に知る事になるのだがBELIEVE IN LOVEはシングルカット曲で買いに行ったタイミングではまだリリース前だったためGLORY DAYSが最新シングルだったというのは間違いではなかった。あと勿論既に発売されていたアルバム(IV)に収録されているという事も知る由もなかった。

 

でもその失敗がきっかけだったのか、彼らに興味を持ち始めてシングルやアルバムを集め出し、アルバムで言えばIVの時期の91年、そこからはリアルタイムで雑誌やCD屋の情報を頼りに93年末の約2年半まで、リアルタイムで彼らの新譜を追う事になる。

(何故93年末までか...は後々に語る事にします)

 

ここでアルバムレビューを。

※リアルタイムで聴き出したのはIVからなのでここからIIIまでは後追いです。

 

LINDBERG I

 

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丁度30年前の今頃にリリースされた記念すべきファーストアルバム。今作では約7割が外部の作家による提供曲で歌詞も渡瀬マキが書いた1曲を除き全部作詞家のペンによるもの。故に後のリンドバーグとは異質な毛並みの作品で「取り敢えずデビュー盤制作にあたり寄せ集めてきた」感は否めなく、ちょっと見方を変えれば元アイドルがバンドを従えて路線変更して出した「渡瀬麻紀 WITH リンドバーグ」的な言わば「プレ・デビューアルバム」な感じ。

しかし今作以降、IIIからは完全にメンバーだけで自給自足するようになる事を思えばこれはこれで今作でしか味わえない「不完全なリンドバーグ」として楽しめる。「寄せ集め」とは言ったものの楽曲自体は悪くはなく、全体的にはハードロック/ポプスな音とアレンジでデビューシングルにもなったROUTE 246は何故かZIGGY森重樹一作曲。

(余談2) このROUTE 246は大人になって初めてツェッペリンのRock N Rollを聴いた時に「あ、リンドバーグだ!」と思わず口にしてしまった通り、イントロでは同曲のドラムパターンを引用していたりと遊び心も。

アルバム前半は比較的聴かせるようなミディアム〜くらいの曲が並び、アコースティックな「違う街 同じ月」を挟んでの後半はライブを意識したような勢いのあるナンバーで構成。

「違う街 同じ月」は個人的には今作で一番好きな曲。恐らくは夢を追うために電車で地元を旅立つ男とそれを見送る彼女の別れを彼女目線で歌った曲で

 

駅を出る改札で

すれ違う知らない顔

似ていない背中にも

あなたの影探してる

                                            (違う街 同じ月の歌詞より)

 

当時13歳のガキだった自分はこの一節を聴いて妙にジーンときて「この人は本当に別れたくなかったんだなぁ」と感動したのを覚えている。

 

そしてこのアルバムのハイライトである「MINE」。リンドバーグ結成のきっかけ的になった曲で過去に出たリンドバーグ本で読んだ記憶が正しければ、アイドルであった渡瀬マキがバンドでオリジナルが歌いたいとバックバンドのメンバーだった平川達也に相談した後彼がこの曲を書いてデモテープを渡すと直ぐに歌詞をつけてきたというエピソードがあったはず。その歌詞もメンバー(多分ドラムのチェリーだったと思う)曰く、「一般的にありがちな男性に守ってもらう女性ではなく、女性が男性を守るという「逆パターン」な内容で面白い歌詞を書く子だなと思った」というユニークなもの。そしてこの曲はデビュー前から解散に至るまで歌い続けられる彼らにとって大事な曲でもある。因みにこの曲のみ作詞のクレジットが本名、そしてアイドル時代からの「渡瀬麻紀」名義になっている。


MINE (LINDBERG) [1990.9.5 日本武道館 Live Ver.]

後のシングルのB面に収録された初の武道館公演でのライブバージョン音源。アルバムの原曲より先にこっちの方を聴いた記憶がある。アウトロでは原曲よりも長いギターソロになっていてよりドラマチックなアレンジでテンポ感や演奏、ボーカルも録音バージョンよりこっちの方が当時から好きだった。

 

最後は元筋肉少女帯の三柴江戸蔵作曲演奏によるボーカルとピアノだけの半ジャズ、半現代音楽風な曲で終わるのだけど何故この曲を入れたんだろう?完全に蛇足になっているとしか思えないのだけど(曲自体の評価ではないよ)。

 

今改めて聴き返してみると確かにファーストっぽい荒さみたいなものはあるんだけど、渡瀬マキ以外はそれまでスキルや実績のあるスタジオミュージシャンだったのに加え、ラウドネスやボーイ(後に氷室京介も)のプロデュースにも関わったプロデューサーのプロデュース、楽曲もプロからの提供など、通常の「新人バンド」のデビュー盤とは言い難いもの。渡瀬マキ自体も「再」デビューなわけで。

今回記事を書くにあたり振り返ってみるとリンドバーグって「作られた」バンドなんだなぁと感じた。ちゃんと「商品」となるようにある程度のクオリティを予め「用意」されていてた訳だから。

 

 

LINDBERG II

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そしてその約半年後にリリースされた2作目。この3ヶ月ちょっと先にリリースされる「今すぐKISS ME」でのブレイク前夜、全く売れずアイドル時代からのファンも段々と少なくなりライブの動員数も減っていった最状況の中、前作からの短いインターバル、売れない新人バンドへの予算の都合という条件の元作られたであろう今作は後に続くIIIやIVと比べると地味であるものの、楽曲に統一感があり好感が持てる。それは前作とは違い今回は(※)アレンジャー、サウンドプロデューサーを一人に統一したからかもしれない。

Wikipediaより

作曲陣もほぼ大半が外部の作家の手によるものだったのが今作では約半分になった(でもそれはメンバーの技量云々ではなく前作からのインターバルの短さゆえ時間がなかったからかもしれない)。曲調やアレンジもリンドバーグらしさが開花し始めたという点でも今作がある意味ファーストアルバムとしても良いと思うし、アルバムという意味では個人的には今作が一番好きだったりする。明る過ぎず、何処か切羽詰まりながらそれでも前を向いていこうみたいな、このアルバムプロモーションのキャッチコピーだった「前向き。」を感じる曲達。中でもそれを大きく反映しているのは「10セントの小宇宙(ゆめ)」だろう。

ああ 金ピカのコインも使えなきゃだだのガラク
ああ おんなじさ 僕たちもこの都会(まち)じゃだだのガラク
何も恐れない心が少し少し削られていく
そんな不安が押し寄せて泣きたい夜でも
逃げる事だけはしないよ 何一つ変わらなくても
自分だけの生き方だと 胸を張って言える

 

初期のアルバム曲の中でも人気の高い曲で、後のシングル”Dream on 抱きしめて”のB面にライブ音源でカットしてるぐらいだから本人達もお気に入りの曲なのかもしれない。

1番目では「(省略)おんなじさ 僕たちもこの都会(まち)じゃ だだのガラクタ」が2番では「僕たちもこの都会(まち)じゃ 『今は』ガラクタ」と歌われるところにグッとくる。この曲はEメジャーなのだけど、少し低めのキーで歌いながら最後のサビ前で3音も上がってGメジャーに転調し張り上げるように歌って終わる展開もニクい。

他にも後にバージョン違いでシングルカットされる”JUMP”、”Heart Voice”、”きみにできるすべて”、”BIG TOWN”と隠れた名曲が並ぶ。中でも作曲・アレンジ的に個人的に好きだったのは”Get The Emotion”。リンドバーグの曲に多い「Aメロ、Bメロ、サビ、1度しかないCメロ」という構成の曲なんだけど、通常Cメロは少し曲調が変わる(時にはキーも変わったりする)くらいのものなんだけど、この曲のそれはガラッとリズムから曲調から変わってかっこいい。この部分は初めて聴いた時から印象的で何の知識もない子供でも一発で好きになったくらい。因みに作曲はプロデューサーの井上龍仁。あとラストの“BIG TOWN”も映画の主題歌みたいなバラードでいいなと思ってお気に入りだった(実際渡瀬マキが出演した映画に使われていたはず)。

 

さて、長々とデビューの89年の足取りとアルバムレビューを書いてみました。次回は翌年90年の「今すぐKISS ME」の大ヒットブレイクから91年までを書きます。お楽しみに!