にとむすミュージックブログ

素人目線からJPOPからエレクトロニカ系まで色々書いてます。

INORAN 「想」

 

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今からちょうど20年前の今頃、INORANのソロデビュー盤が出た。

 

 

 

 

97年は数年でいっきに巨大化した母艦バンドを一旦止めてメンバーそれぞれがソロデビュー、先陣を切ったボーカルは次々に大ヒットを連発し、年末に出したアルバムは300万枚という化け物級のセールスを記録。ベーシストはゴリゴリのオルタナティブロック、片方のギタリストは4HEROなどのドラムンベースアンビエント系のアルバムを出す中、当のINORANDJ KRUSHと組んでヒップホップへと接近した作品を出す。

他2人の作風はそれぞれの音楽的バックボーンやキャラクターから察しがつきやすかったものの、最初はINORANのソロの音が想像つかなかったのを覚えている(元々ギターソロとか弾きまくるタイプの人じゃないから)。母艦バンドの彼原曲の作品から「少し実験的なアンビエント風のインストとかかな、まさか歌うとかないだろうし」と思っていたところで先行シングル(「想」)を聴いて「なんじゃこりゃ」とズッコケそうになった。明らかに歌った事のない拙いボーカル(それを補正というか誤魔化すように加工された声で歌ってる)、盛り上がりのない曲調...。当時一聴した印象は「つまらん」だった。

 

(97年版の音源がなかったので11年の新録版を)

※ちなみに14年後に出したリマスター盤ではこの曲だけ再録されていて、ボーカルも上手くなってる。

 

ただ、大人になってから振り返ってみるとソロ活動とは言えあんな巨大バンドメンバーの作品がインストやゲストボーカルだけでは「商品(セールス)的」にどうかって懸念もあっただろうから、本人の意向ではなかったかもしれないにせよ、サービスで本人歌唱の曲をという要請がレコード会社からあったんだと思う(大人の事情ってやつですね)。

 

とは言え彼のソロ作品には関心を持っていた。「EDEN」期の「Recall」や「Rejuvenescence」「Rain」「Claustrophobia」など好きな曲は彼が原曲作曲のものが多かったし(バンドのキャリアの中で一番好きなアルバムが「EDEN」だったけど今回調べてみてこのアルバムがINORAN原曲作品が多かったのにびっくりした)。「BELIEVE」や「ROSIER」などのキャッチーでシングル向けの作風とは違い派手さはないけどとても癖のあるメロディ、何処か廃退的な雰囲気のある作風で、よく考えるとLUNA SEALUNA SEAたらしめているのはINORANであのバンドの核なのだと感じた。

 

その1ヶ月後にアルバムが出た。シングルみたいに本人歌唱曲メインとかならキツイぞ…と訝しげに聴いた感想は…

 

「これ洋楽じゃん...」

 

本人が歌っているシングル曲ともう1曲以外はすべて英語、それ以上にラップが入ってて頭の中は「?!!!??!?」状態。本人歌唱曲がないのもゲストボーカルで洋楽風なのも「なるほどね」と許容内ではあったにせよラップは全くの変化球で当時の自分は「変なアルバムを買ってしまったなぁ」という失敗感が拭えなかった。バンドを活動休止して一気にそれぞれがソロ活動を始める中、受け手からそれぞれに対して「1/5のLUNA SEA」というものを期待されていただろうし、そういう意味では相方ギタリストのソロ作品の方がまだ「ロック好きならなんとか許容範囲」的な感じだったと思う。

でも最後を飾るもう1つの日本語の曲「人魚」は結構好きだったな。

なのでこのアルバムはこの曲ってイメージが強かった。

 



アコギのアルペジオアコーディオンのトラックにけだるい女性ボーカルが乗っかる3連符の曲。このボーカル、素人っぽいと思っていたんですけど今回調べてみたら一般人らしいですね(Ri-aさんという方らしいです)。

この曲はファンの中でも人気曲らしく、17年発表のセルフカバーアルバムでなんと本人歌唱で再録されています。

 

 

人魚

人魚

  • provided courtesy of iTunes

 

 

という事で当時買ってから何年も放置してたんですが、数年前にこのアルバムを部屋から見つけたので聴いてみたんです。いや、いいアルバムでした。90年代末期の空気感があって音的にも古さは感じるところもあったけど、それもある意味レトロ的に気にならなかったし、それ以上に曲がよかった。当時気づかなかったけど意外とギター弾いてるんですね。相方ギタリストのソロと近い部分はあるものの(アメリカというよりヨーロッパな音とか)、個人的にはこっちの方が全然好きです。

特に5曲目の「FAITH」という曲。

 

ネット上に音源がなかったので冒頭1分間の部分だけ

 

これは...個人的人生のベストに入れてもいいと思える程名曲。女性ボーカルが歌うメロディと印象的なギターフレーズ(特にCaugの響きがたまらない)、ウッドベースのアレンジがもの凄くけだるく、ちょっと言葉にし難いくらい美しい。というかINORANってこんな曲書けるのか。凄いな。

 

KillBill vol.2にも使われたこの曲を思い出した(40秒辺りから再生して下さい)

 

母艦バンドでもメインというよりは変則的というかB-Side的な変わった曲を書くのが得意だったし、結果的にこういうアルバムが出来たのももの凄い意外とかではなかったにせよ、予想よりもっと振り切ったものだったから本当に驚いたものだった。実際例の本人歌唱のシングルを抜かした形で覆面名義で出していたら絶対誰もビジュアル系アーティストのソロ作品だとは思わなかったと思うし、実際そうしていたらこのアルバムも違う捉えられ方がされていたかもしれない。