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最終バス乗り過ごしたあとに

アラフォーのおっさんが書くあれこれ。

Exodus/ Utada (後編)

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後編では各トラックについて少し詳しく書いてみようと思います。

 

1.opening

宇多田ヒカルの作品では定番のインストないしワンセクション分のボーカルが入った小品。

いきなりリードトラックから始まるのではなく前奏的なトラックを用意しているところからしてこのアルバムにかける意気込みみたいなのを感じる。

 

2.Devil Inside 

米国でのリードトラックでリミックス(恐らくRichard Vission remix)がビルボードのダンスチャートで30位を記録。

G♭とFだけのミニマルなコード進行ながらAメロとサビで上手くメリハリをつけて展開していく曲。日本でのプロモーションでHey hey heyでこの曲を披露していたけど明らかに弾けないギターを持ちながら歌唱している姿がとても滑稽に見えたのを覚えている。録音版では地味な打ち込みの曲って印象だけど、宇多田ヒカルとしてのツアー(UTADA UNITED 2006)で披露されたライブバージョンは比べられないほど素晴らしいアレンジなので是非そちらを聴くべし。

 

3.Exodus’04

 

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ティンバランドによるトラックでタイトルにもなっている曲。こういうトラックメイキングは宇多田ヒカルには出来ないし、しようとも思わないと思う。ちょっと喘ぎ声のように聴こえる部分を拾ってその音と「04」をひっかけて作詞したのかなと推測したり。サビで出てくる鍵盤バッキングも切なく曲を引き立てているけど恐らくこの部分は宇多田本人による後付けかもしれない。因みにこの曲もリミックスEPとしてシングルカットされ、ビルボードのダンスチャートでは9位をマーク。ただ、ダンスチャートは曲や歌手自体よりリミキサーの名前や手腕によるところが大きいのであまり宇多田本人どうこうとは関係ないように思う。

 

4.The Workout 

軽めの打ち込みスネアの音がバシバシと耳に煩い曲。本人曰く歌詞の内容が凄くエッチで歌うのが恥ずかしいらしいが非ネイティブからすると全然分からない。

当初インタビューで「ティンバランドのトラックを私のクセの強いトラックで挟んじゃったから彼のトラックが地味に聴こえるかも」と発言していて恐らくDevil Insideとこの曲と思われるが、個人的にはこのティンバランドのトラックの方が印象強いです…。

 

5.Easy Breezy

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日本でのリードトラックでDVDシングルとして発売。MVも歌詞の内容をちゃんと汲んだ作りになっていて、酷い元カレに対して歌われる曲。この歌詞の中にある”You’re easy breezy and I’m Japaneesy”と韻を踏んだ一説が少し問題になったらしいが(”Japaneesy”を無理やり訳すと「尻軽な日本人」となるらしい)、単なる韻を踏んだジョークのつもりだと思うんだけども。因みにeasy breezyにはヤリ◯ンって意味もあるらしいからなぁ。それ以上に問題なのはこのMVでのメイク。如何にも欧米人から見たアジア人メイクって感じでケバくて…これじゃほんとにヤリ◯ンに見えるぞ…。1番の歌詞の”Hello,Goodbye”という一説に対して2番では”Konnichiwa sayonara”と日本語にして遊び心も入れているのもユニーク。

 

6.Tippy toe 

 

7.Hotel lobby

個人的に好きなトラックの一つ。タブラの音から始まりシンセのフレーズと時折シンコペートするスネアのリズムが印象的。サビの後ろで薄く流れる白玉のシンセパットの音も個人的にはツボ。一部のメロディが宇多田名義の"Kiss & Cry”に流用されている(宇多田名義の「嘘みたいなI Love You」のサビが「光」の英詞版「Simple and Clean」のサビに使われていたりと彼女の場合こういうパターンは珍しくない)。

「彼女は尊敬されたくない、リアリティを親友にしているから」「彼女は無防備…」とリアリストな女性を第三者的視点で歌われている。が突如サビでは主語が「彼女」から「私」と一人称に入れ替わり「ホテルのロビーで会いましょう」「あなたと私の目が合うのはホテルのロビーの中」と続く不思議な曲で色んな解釈が出来るけど個人的には「彼女」と「私」は同一人物で、建前と本音みたいな対比で主観と客観を使い分けているのだと解釈している。ロビーの鏡に映るあなたの目は「私」の目だから。

 

8.Animato

今作の日本語訳は外部発注しているのにも関わらずこの曲のみ本人が訳しているというよく考えれば変な曲。ネイティブである本人が英語圏に向けて書いた曲を本人が日本語に訳すって中々ないケースだもんね。

歌詞の内容はこれも世界デビューに向けての自己紹介的な感じ。

 

9.Interlude

オープニングの変奏。そんなに違いはない。

 

10.Kuremlin Dusk

このアルバムのハイライトとなる曲。この曲のみドラムが生でマーズ・ヴォルタのドラマーが演奏。この曲も日本でのUTADA UNITED TOURとアメリカ・イギリスでのIn The Flesh Tourで披露されている。この曲もDevil inside同様ライブ版の方が遥かにカッコいい。Devil〜とは違いこの曲はほぼ原曲通りにライブで再現されているけどエンディングでのシャウトなどライブならではの演奏で迫力がある。

 

11.You Make Me Want To be A Man

 

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イギリスでのデビューに伴いシングルカットされた曲で前作MV(Easy Breezy)での反省を生かしてか当時の旦那である紀里谷和明が制作したMVは紀里谷ワールド全開のダークでCG全開な作り。

歌詞は「何の意味もない口論/これが私なの/とても言いたいことがあるのに言えない/あなたといると男になりたくなる」と分かり合えない男女の価値観の軋轢を歌っている。恐らく紀里谷との事を歌っているのかもしれない。

MVが出た後にこのタイトルだと単に「人間になりたいと思ってしまう」って解釈になりそう。

 

12.Wonder ‘bout

ダークでヘビィなが続いた後は少しコミカルなティンバランドによるトラック。このアルバムで一番R&Bと言うかブラックな作風。メロディの譜割りもそれに合わせるリリックも複雑でよくこんな歌詞書けるな、しかも歌えるなって感心する。

 

13.Let Me Give You My Love 

こちらもティンバランドによるスペーシーなトラック。ティンバランドのトラックだと曲やメロはR&B寄りになるのですね。

 

14.About Me

アルバムのラストはアコギと打ち込みのリズムによるミディアムバラード。「まだ子供は欲しくないって言ったらどうする?」などこれも元旦那である紀里谷和明に向けて歌われていると思われる。