最終バス乗り過ごしたあとに。

アラフォー音楽家が書く雑多なブログ。

ご無沙汰してます

 

気づけば前回の記事から早2ヶ月近く経とうとしてますね…汗。

 

プライベートでバタバタしたり、その間にも色々書いてて未完の記事が溜まっているんですが、リサーチしたりとかに手間取って中々投稿出来ないままでいます。

 

もしかしたら定期的に見に来て下さってる方もいるかもしれないと思うと心苦しいです…

 

が、

 

少し状況も落ち着いてきたのでこれからちゃんと定期的に書いてきます。

加えてブログ以外での活動も本格的に始めるのでこのブログと連動しつつやってきいこうと考えています。

伴って過去記事もそれに関連したコンテンツを繋げていこうとも思うので、過去記事もチェックしてみて下さい!

 

ではこれからも宜しくお願いします!

 

 

名もなき詩 / Mr Children

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96年にリリースされたミスチルのシングル。確か和久井映見のドラマの主題歌だったと思う。元々ミスチルに強い興味を持てなかったため彼らの曲(特に98年の活動再開以降)はほぼ知らないのだけどこの曲は好きだった。

ミスチルは中学生だった92年ごろ「GB」や「WHAT’S IN」の音楽情報誌でデビューしたての新人として目にして(同時期にシャ乱Qもいたけど「これは売れんやろ」と思ってた)「変なバンド名だなぁ」と思っていた。実際に曲を初めて耳にしたのはポッキーのCMソングだった「Replay」という曲。「ふむふむ、これがミスチルか」とメロディも良かったのでレンタル屋にシングルを借りに行った。

しかしその直後あの「CROSS ROAD」でブレイクするとは全く思わなかった。それからは破竹の勢いで「innocent world」と「Tomorrow never knows」と快進撃を続け、「Atomic heart」を出す頃にはもう王者の風格さえあった。「Tomorrow never knows」なんてイントロ聴いただけで間違いなく大ヒットすると思っていた。

その後「everybody goes」や「es」、「シーソーゲーム」とシングルを出しそれぞれミリオンヒットするも95年末になってもアルバムは出ず、「いくらまだ前のアルバムがヒットしてるとは言え今のタイミングでアルバム出さないと篠原涼子みたいになるんじゃないか(※)」と余計な心配をしていた。

※前年に小室プロデュースで「愛しさと切なさと心強さと」をリリースしメガヒットするもそれからリリースの間が空き、そらから1年後にようやくリリースされたアルバムはシングルのセールスからするとあまり売れなかった。

 

そしてその後アルバムを出さないままこのシングルが出た。そのちょっと前にB’zが出したシングル(Love Phantom)が初動売上95万枚と話題になったのだけど、このシングルはそれを大幅に更新した120万枚を記録(恐らくこの記録は未だに破られていない)。当時の音楽産業バブルが如何に凄かったかを伺い知るエピソードの一つですね。

この曲の面白いところはシンコペーションを多用したリズム。ドラムはAメロでは後半の半小節は全部タムとフロアで裏を叩いてて間を作りためている。特に面白いのは前小節の終わりからバスタムでシンコペートしているせいでリズムが食い気味になり「跳ね感」を強調している点。ベースラインもスライドを多用してカッコいい。あとアコギとエレキのストロークをそれぞれ左右に振ってミックスされているアレンジもユニーク。

ユニークついでに言えば曲の構成も多彩で、Aメロの後にBメロに移るとまたAメロに戻り(しかしこの2回目のAメロは最後のコードがCadd9になりサビへの繋がりを作っている)、そしてサビという展開をもう一度繰り返した後Cメロへ。そして短いギターソロを挟みラップっぽい早口の変則Aメロになった後、転調し最後の大サビへ。この転調の仕方がまたカッコいい。転調と言えば小室哲哉が多用する十八番の技法だけどここでは彼の前触れもなしにいきなりキーが上がる的なそれではなく、D♭/E♭→A♭と前置きを挟みながらの転調。全体的なコードワークや構成のアレンジはきっとプロデューサーの小林武史の手腕が大きいのだろう。並みのソングライターでは中々出来ないアレンジだ。こんなに凝っているのにそう感じないのはきちんと歌を中心にアレンジされているからかもしれない。

そして歌詞は人間関係性を歌ったもので裏切ったり裏切られたりと迷いながらもそれでも生きていこう的な感じ。曲中の「ノータリン」という言葉が当時の放送禁止用語だったらしいがテレビでは普通に歌われていた記憶がある。

この曲はそれまでのシングルとは違い同年の夏にリリースされたアルバム(「深海」)に収録されアルバムの先行シングルになっているものの、この年の年間シングルチャートの1位になり、自身の売り上げの中でも「Tomorrow never knows」に次ぐ2位を記録。

 

CROSSROADのブレイクから約2年ちょっとでTomorrow never knowsが売り上げ200万枚、アルバムAtomic Heartが300万枚、そしてこの曲が初動売り上げ120万枚を記録した事で90年代の王者に君臨する事を示した形となったのであった。 

 

 

 

 

Exodus/ Utada (後編)

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後編では各トラックについて少し詳しく書いてみようと思います。

 

1.opening

宇多田ヒカルの作品では定番のインストないしワンセクション分のボーカルが入った小品。

いきなりリードトラックから始まるのではなく前奏的なトラックを用意しているところからしてこのアルバムにかける意気込みみたいなのを感じる。

 

2.Devil Inside 

米国でのリードトラックでリミックス(恐らくRichard Vission remix)がビルボードのダンスチャートで30位を記録。

F#とFだけのミニマルなコード進行ながらAメロとサビで上手くメリハリをつけて展開していく曲。日本でのプロモーションでHey hey heyでこの曲を披露していたけど明らかに弾けないギターを持ちながら歌唱している姿がとても滑稽に見えたのを覚えている。録音版では地味な打ち込みの曲って印象だけど、宇多田ヒカルとしてのツアー(UTADA UNITED 2006)で披露されたライブバージョンは比べられないほど素晴らしいアレンジなので是非そちらを聴くべし。

 

3.Exodus’04

 

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ティンバランドによるトラックでタイトルにもなっている曲。こういうトラックメイキングは宇多田ヒカルには出来ないし、しようとも思わないと思う。ちょっと喘ぎ声のように聴こえる部分を拾ってその音と「04」をひっかけて作詞したのかなと推測したり。サビで出てくる鍵盤バッキングも切なく曲を引き立てているけど恐らくこの部分は宇多田本人による後付けかもしれない。因みにこの曲もリミックスEPとしてシングルカットされ、ビルボードのダンスチャートでは9位をマーク。ただ、ダンスチャートは曲や歌手自体よりリミキサーの名前や手腕によるところが大きいのであまり宇多田本人どうこうとは関係ないように思う。

 

4.The Workout 

軽めの打ち込みスネアの音がバシバシと耳に煩い曲。本人曰く歌詞の内容が凄くエッチで歌うのが恥ずかしいらしいが非ネイティブからすると全然分からない。

当初インタビューで「ティンバランドのトラックを私のクセの強いトラックで挟んじゃったから彼のトラックが地味に聴こえるかも」と発言していて恐らくDevil Insideとこの曲と思われるが、個人的にはこのティンバランドのトラックの方が印象強いです…。

 

5.Easy Breezy

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日本でのリードトラックでDVDシングルとして発売。MVも歌詞の内容をちゃんと汲んだ作りになっていて、酷い元カレに対して歌われる曲。この歌詞の中にある”You’re easy breezy and I’m Japaneesy”と韻を踏んだ一説が少し問題になったらしいが(”Japaneesy”を無理やり訳すと「尻軽な日本人」となるらしい)、単なる韻を踏んだジョークのつもりだと思うんだけども。因みにeasy breezyにはヤリ◯ンって意味もあるらしいからなぁ。それ以上に問題なのはこのMVでのメイク。如何にも欧米人から見たアジア人メイクって感じでケバくて…これじゃほんとにヤリ◯ンに見えるぞ…。1番の歌詞の”Hello,Goodbye”という一説に対して2番では”Konnichiwa sayonara”と日本語にして遊び心も入れているのもユニーク。

 

6.Tippy toe 

 

7.Hotel lobby

個人的に好きなトラックの一つ。タブラの音から始まりシンセのフレーズと時折シンコペートするスネアのリズムが印象的。サビの後ろで薄く流れる白玉のシンセパットの音も個人的にはツボ。一部のメロディが宇多田名義の"Kiss & Cry”に流用されている(宇多田名義の「嘘みたいなI Love You」のサビが「光」の英詞版「Simple and Clean」のサビに使われていたりと彼女の場合こういうパターンは珍しくない)。

「彼女は尊敬されたくない、リアリティを親友にしているから」「彼女は無防備…」とリアリストな女性を第三者的視点で歌われている。が突如サビでは主語が「彼女」から「私」と一人称に入れ替わり「ホテルのロビーで会いましょう」「あなたと私の目が合うのはホテルのロビーの中」と続く不思議な曲で色んな解釈が出来るけど個人的には「彼女」と「私」は同一人物で、建前と本音みたいな対比で主観と客観を使い分けているのだと解釈している。ロビーの鏡に映るあなたの目は「私」の目だから。

 

8.Animato

今作の日本語訳は外部発注しているのにも関わらずこの曲のみ本人が訳しているというよく考えれば変な曲。ネイティブである本人が英語圏に向けて書いた曲を本人が日本語に訳すって中々ないケースだもんね。

歌詞の内容はこれも世界デビューに向けての自己紹介的な感じ。

 

9.Interlude

オープニングの変奏。そんなに違いはない。

 

10.Kuremlin Dusk

このアルバムのハイライトとなる曲。この曲のみドラムが生でマーズ・ヴォルタのドラマーが演奏。この曲も日本でのUTADA UNITED TOURとアメリカ・イギリスでのIn The Flesh Tourで披露されている。この曲もDevil inside同様ライブ版の方が遥かにカッコいい。Devil〜とは違いこの曲はほぼ原曲通りにライブで再現されているけどエンディングでのシャウトなどライブならではの演奏で迫力がある。

 

11.You Make Me Want To be A Man

 

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イギリスでのデビューに伴いシングルカットされた曲で前作MV(Easy Breezy)での反省を生かしてか当時の旦那である紀里谷和明が制作したMVは紀里谷ワールド全開のダークでCG全開な作り。

歌詞は「何の意味もない口論/これが私なの/とても言いたいことがあるのに言えない/あなたといると男になりたくなる」と分かり合えない男女の価値観の軋轢を歌っている。恐らく紀里谷との事を歌っているのかもしれない。

MVが出た後にこのタイトルだと単に「人間になりたいと思ってしまう」って解釈になりそう。

 

12.Wonder ‘bout

ダークでヘビィなが続いた後は少しコミカルなティンバランドによるトラック。このアルバムで一番R&Bと言うかブラックな作風。メロディの譜割りもそれに合わせるリリックも複雑でよくこんな歌詞書けるな、しかも歌えるなって感心する。

 

13.Let Me Give You My Love 

こちらもティンバランドによるスペーシーなトラック。ティンバランドのトラックだと曲やメロはR&B寄りになるのですね。

 

14.About Me

アルバムのラストはアコギと打ち込みのリズムによるミディアムバラード。「まだ子供は欲しくないって言ったらどうする?」などこれも元旦那である紀里谷和明に向けて歌われていると思われる。

 

Exodus /Utada (前編)

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ほくそ笑むDevil Inside

 

2004年にリリースされた宇多田ヒカル(Utada名義)のアメリカデビュー作。日本デビューそれ以前にもCubic U名義で全曲英詞でアーバンR&B/Soulのアルバムを出していたり、2001年にはネプチューンズによる”Blow my whistle”をジャッキーチェンの映画「Rush Hour 2」に提供したりと布石はあったし流れとしても当然の全米デビュー。2002年にアメリカのIslad Def Jamと契約するもそれから約2年以上かかってのリリースとなったのは自身の結婚や病気に加えレコード会社幹部の交代など大人の事情のゴタゴタに巻き込まれたのもあるらしい。

 

04年になると先ず日本武道館で5日間公演(ヒカルの5)とシングルベストを出した後、Utadaとしてオリンピックの公式サントラに(アルバムにも参加しているティンバランドの)”By your side”に初めてfeaturing参加した後、同年9月に日本先行で”Exodus”がリリースされた。「日本の歌姫の全米への挑戦」という期待もあり英詞、非J-pop調のアルバムにも関わらず初登場1位、ミリオンセラーを記録。

日本人というかアジア人が全米デビューする事には成功するか否かの前にアメリカのマーケット用にそれまでのスタイルを変えてアメリカナイズされた曲や表現の仕方に結構興味があって、さて宇多田ヒカルはどう勝負を挑んでくるのかと興味津々で聴いてみると…

「これは売れないだろうな…」が最初の印象だった。ティンバランドプロデュースのトラック以外は全て自分でプログラミングしたらしいのだけど地味で、それまでの宇多田ヒカル名義のアルバムですら完全に一人でトラックメイキングはした事ないはずなのにアメリカという未知のマーケットに挑むというタイミングで初めての事をよくレコード会社の人は許したなぁと訝しんだ。あとボーカルが弱い。アジア人という事でただでさえ細い声なのに特に苦しそうに出してる高音はキーキーしてて耳心地が良くない。あとPOPなのかR&BなのかDANCEなのかカテゴライズが曖昧。そのどれもが要素として含まれていはいるんだけどはっきりとせず中途半端。アメリカで勝負出来るようなボーカルでもなければ、踊りが上手いわけでもない、見た目も普通なアジア人で"Easy Breezy"のMVでは欧米人から見た典型的なケバいアジア人メイク…。恐らくアジア人は見た目が若いからメイクで大人っぽく見せようとしたのかもしれないけどあれはあまりにも酷かった。

訝しんでいた理由の一つにレコード会社は彼女を本気で売り出そうとはしてなかったと思う。アメリカで出す云々よりもとりあえずうちと契約してアルバム出せば日本だけでも良いセールスは得られるだろうくらいにしか狙ってなかったような。本人だって日本デビューからいきなりバカ売れしたから「私はそのままでいいのよ」と高を括っていたのかもしれない。ドリカムが全米進出して結果失敗した時も色々言ってたしね。あと歌詞のも個人的な事を抽象的に歌っていたり小難しい言葉使いだったりして分かりにくいかなとも感じた(Easy Breezyの”Japaneesy”やAbout Meの”something you’ve already chewed”など独特の言葉使い満載)。ネイティブが聴くとまた違って聞こえるのかもしれないけど、実際留学した時現地の人に聞いたら「こんな言い方はない」って言われた事あるし。単に韻を踏んだ言葉遊びなんだろうけどね。

 

と、冷静に分析すると酷評になってしまったけど個人的には好きなアルバムでトラックも中々面白いと思う。実際出てから数年は聴きまくっていたし、「R&Bを売りにした日本で一番売れた日本人の全米デビュー盤」って看板を外して普通にシンガーソングライターのデビュー作としてなら全然面白いアルバムだと思う。後に本人が「それなりにロック好きとか尖ってるのが好きな人達には受けた」とか「あのアルバムは結構実験的で…(中略)アングラなフォロワーが出来た」(※英語でのインタビューをから訳)と発言しているように「宇多田ヒカル」って名前を外せば素直に面白いねって言えると思う。

 

※それから約10年後にリリースされた復帰作「Fantôme」がiTunesチャートとは言え全日本語詞による日本マーケット向けの作品にも関わらずアメリカのiTunesチャートで3位をマークするという偉業を成し遂げる事になるのだがそれはこちらの記事を参照のこと↓

 

F#とFのみのミニマルなコード進行ながらAメロとサビでメリハリをつけて展開していく”Devil Inside”、ティンバランドらしい不思議なトラックが印象的な”Exodus’04”、”you’re easy breezy and I’m Japaneazy(あなたはイージーブリージーで私は尻軽な日本人)”と韻を踏んだ歌詞が問題となった”Easy Breezy”、売春をしていると思わしきリアリストな女性を客観的に見つめる”Hotel Lobby”、「あなたといると男になりたくなる」と分かり合えない男女の価値観の軋轢を歌う"You make me want to be a man”、今作のハイライトで唯一生のドラム演奏が使われている”Kuremlin Dusk”。

"Devil Inside"では琴に近いシンセの音色を使ったり、"Easy Breezy"では「Konnichiwa sayonara」と日本語を入れてみたりとオリエンタリズムというか遊び心を入れつつ、全体的には正攻法より斜めからのアプローチが多く、歌詞の内容や曲の音色も「ダーク」な印象が強い。

2年後日本でのツアー(UTADA UNITED 2006)ではこのアルバムから”Devil Inside”、”Kremlin Dusk”と”You make me want to be a man”の3曲が披露され、各曲とも今剛氏のギターが映えるバンドアレンジでシャウトやアドリブ風のスキャットも加わったライブバージョンはロック色が強調されているが「こういう曲調をフィーチャーしたアルバムでも良かったのでは?」と思うほどかっこよかった(ちなみにUtadaとしての初のUS/UK ツアーでもこの3曲は披露されている)。次作や宇多田ヒカルとしても近年はこういうダークで激しい曲を書かなくなっているのでまた書いて欲しいなと思うんだけどな。そう、最近の宇多田ヒカルに対して抱く物足りなさはこういう激しめのダークサイドがなくなってきているからだと感じる。

 


Devil Inside

 

結局このアルバムでは2枚のリミックスEPを出したのとリリース前に現地で小さな会場でお披露目ライブをしただけで特に大掛かりなプロモーションもせず終わってしまう(ミュージックステーションで披露した"Exodus’04”を除けば前記した3曲以外も後にも先にもライブなどで演奏される事もなかった)。翌年にイギリスでもジャケット違いでリリースされるもヒットせず。世間からは「失敗作」という烙印を押されてしまう結果となった。

ドリカム曰くアメリカのマーケットはとにかくデカ過ぎて人種や宗教など色んな壁や制約がありそんな場所で成功するのは途方も無く無謀な事で、そんな巨大なマーケットに何の勝算もなく挑んだのが違いだったのかもしれない。YouTubeが普及した現在、日本のカルチャーや音楽が一部に受け入れられているとは言えどそれは物珍しさの延長でしかないと思うし、本当の成功は向こうにしっかり基盤を置いて向こうの「音」や「歌」として鳴らさなければならないものだと思う。日本が基盤でその延長で向こうでもちょこっと受け入れられているよくらいで良いのならそれで良いのかもしれないけど。

 

後半へ続く。

 

 

 

hideの命日に (再考)

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今日は5月2日。一年前の今日、20年前のこの日にに起こった悲劇を思い出してブログに書いたのでもう一度同じ日に書いてみようと思う。

 

hideの命日に思うこと。 - 最終バス乗り過ごしたあとに。

 

あれは忘れもしない夏休みも終わりに近づいた93年の8月25日。ロック好きのYと映画を観に行った帰りに「ちょっと買いたいCDがあるから」とCD屋に立ち寄った後Yの家で聴かせられたのが”ART OF LIFE”だった。全部英詞でしかもHR/HMの曲なんて人生初めて聴くし、ピアノソロも「なんじゃこりゃー」だったけど、Yが言うには「どうせ途中で飽きるかな思ったけど最初から最後まで真剣に聴いてた」と25年経った今でも言ってくるくらい「とにかくなんか凄いこれ」と聴き入っていた気がする。特に2回目サビのバイオリンソロは二胡みたいな音色で美しく印象的だったのは覚えている。お化粧バンドっていう偏見や嫌悪感も忘れるくらい凄かったけど、後ジャケのアー写の一人に何故か惹きつけられていた。それがhideだった。

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「なんだこのピンクい髪は」

それまで見たお化粧バンドのクオリティとは全然違い、そのアー写の赤髪の人は同じ人間とは思えないくらい存在感で正に漫画のキャラクターが具現化して出てきた人って感じだった。

 

それから少しして後々バンドメンバーとなる大のXファンのSと知り合いになった。放課後になると半ば拉致気味にSの家に連れていかれまるで洗脳の如くXのCDやビデオを聴かされ観まくらされ、1ヶ月も過ぎた頃にはすっかりXに染められていた。

Xと言えばその中性的な美しさでピアノを弾いたかと思えば半裸になってアスリートの如く高速ドラムを叩くYOSHIKIだと思うけど、自分の中ではやっぱり赤髪のhideで、いくらSの洗脳(余談だけどXの話をする時に「洗脳」って言葉を用いると何か妙な気分になりますね)があったとは言えhideがいなかったらXにハマっていなかったと思う(後にバンドを始めるにあたりドラムをする事になってからは少しずつYOSHIKI派になっていくんだけども)。年末になるまでにはすっかりハマってて「X、2年ぶりのライブを年末に東京ドームで」と新聞の記事を見つけすぐさまSと共に興奮したりしていた。

 

それから年が明けてシングル”DICE”が発売されると速攻で買いに行った。

マイナーのギターフレーズのイントロから始まる3分弱のシンプルなロックソング。シンプルなんだけどAメロからサビに移りイントロ部を挟んでまたAメロに戻るかと思いきや少し変則的なサビになる。コードは同じだけどメロディが上がって変化をつけているし、最後のサビもハモりを強調した感じとリズムもスネアで4拍打って「ラスト感」を強調させていて同じ展開がない。シンプルなんだけどギミックは忘れないというか直球なようでやや変化球的な曲。

その後直ぐに出た1stアルバム”Hide Your Face”の初回盤はH・Rギーガーによる仮面の立体的なオブジェで、開けるとhideの顔が出てくるという凝ったものだった。確か通常盤より200円くらい高かったと記憶してる。クラスや周りの友人らはこぞって買っていたけど実は何故か自分は買わなかった。その時お金がなかったのかどうか覚えてないけどその代わり同時期に出たMV週のビデオは買った。多分自分の中でhideは音よりもビジュアルだったんだと思う。

シングルの”Eyes Love You”や”Dice”は勿論、”Eyes〜”のアウトテイク素材で作られた”OBLAAT”、アメリカのレディースバンド"L7”のメンバーが出演した”DOUBT”のMVをメインにちょっとしたオマケ映像を収録したビデオでの一番の見所はオープニング。93年末のXの東京ドーム公演のソロコーナー「Hideの部屋」直前の映像。勿論その公演は見に行けなかったし、もう少ししたらライブビデオが出るんだろうなと思っていたけど(なんとこのライブが発売されたのはそれから15年後…)、少しでも最新のXのライブの雰囲気やhideの映像が観れる貴重なものだったし、あと当時15歳だったので、そんな小童には刺激の強い映像でもあった。。

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Burny MG-X 通称「Shocking Pink」

93年"Eyes Love You”のMVで初登場。

年末のドーム公演でのソロコーナーや

翌年の1stソロツアーで使用された。

 

それからソロツアーをした後の約2年間は沈黙状態。Xでの恒例のドーム2DAYSやツアー(95年11月からのダリアツアー)を行うものの「Xのレコーディングとかで忙しいんだろうか」と思っていたところに「ツアー中にYOSHIKIが倒れる」「ツアー中止」のニュースが。再起不能的な情報もあったりして「アルバム出るんか?」と不安になったりした。そんな中で96年春に「Lemonedレーベル」の設立、レーベルのサンプラーCDとビデオが発売される。音源と映像は共に"限界破裂”と”Bacteria”の2曲の新曲収録。約2年ぶりに新曲と「動くhide」が観れた。そしてその直後に久々のシングル”Misery”、2ヶ月後には”Beauty&Stupid”も発売され、トントン拍子に2nd”PSYENCE”もリリースされた。

 

この頃辺りからhideは作風のみならずビジュアルにも変化が現れる。1stまでは「Xのhide」然としたメイクやロングヘヤー、ギターも初期hideの代名詞である「ペイント」かブラックのMGだったのが、髪もバッサリ切って蛍光色の衣装やでポップになっていく。

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初期のメインモデル 通称「ペイント」

 

ギターはMGシェイプはそのままにレモンドロップとチェリーサンバーストへとバージョンアップ。

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Burny MG-X "cherry sunburst"

中期(95-96年)のメイン機。初登場は94年末の東京ドーム公演で

Week EndやStanding Sexなどの半音下げの曲で使用。

その後2代目機からはサスティナーが搭載される。

 

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 Burny MG-X "Lemon Drop"

初登場は94年末の東京ドーム公演。

新曲として演奏したドロップDチューニングの"Scars On Melody"や

2nd solo tourでも使用された。

 

作風もローファイ〜オルタナティブ系、HR/HM系の音からベビーロック風アプローチへ。当時のアメリカの音「アフターニルヴァーナ」やマリリンマンソンのブレイクなどの影響など細かく言えば更にもっとあったのだと思う。伴って歌い方のバリエーションも増えた。特に注目されたのがリカットされたシングル「Hi-Ho」。それまでの彼のイメージないし「ヴィジアル系」と言えば「黒」「赤」「灰色」などモノトーンかはっきりとした暗めの色だったのが、この曲ではサンバのリズムに乗って脳天気に「ハーィホーゥ」と歌われ三原色の似合うカラフルなものに。そんな自分も当初は「これはちょっと…」と受け付け難かった。

全16曲、最小限の人数と時間で作られたというこのPSYENCEは未完となる次作”Ja,Zoo”を合わせても異色の作品。この頃はもうイメージ的にもスタンス的にも「Xのhideのソロ」ではなく、「Xに参加しているソロアーティスト・hide」という感じになっていた。バリバリに作品をリリースをしたりツアー回ったりするだけではなく、レーベルの設立や関連のイベント、コンピレーションCDのリリースや世界デビューを予定していた別バンド"Zilch”の活動などなど。いくらレコーディングで停滞してるからと言って世界デビューを控えている母艦(X)は大丈夫なのかなと懸念していたけども(実際各々のソロ活動が解散の要因の一つでもあったと後にYOSHIKIは発言)。

そして翌年、Xは解散。XのラストライブではMGシェイプの最終形態で、且つhideの最大のイメージにもなる「イエローハート」をメインにノーマルチューニング曲で使用された「グリーンハート」が登場。

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Burny MG-X "Yellow Heart"

後期のメインモデルで96年末のDAHLIA TOUR FINALで初登場。

 

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Burny MG-X "PSYENCE"

96年末のDAHLIA TOUR FINALで初登場。

夜光塗料で発光し、ドロップDチューニングである"Scars"演奏時に使用された。

 

hide with spread beaverとしてリリースされた3部作「ROCKET DIVE」「ピンクスパイダー」「ever free」はライブで披露された事はなく、歌番組などでのプロモーションではギターを持つ事はなかったので結果的にXのラストライブがギタリストとしての最後になってしまったが(例外としてROCKET DIVEのMVの中でJG-customを使用している)、MGから離れ新たなシェイプのモデルを開発中だったらしいので(そのギター製作の打ち合わせがあの運命の日(98年5月2日)だったらしい)残念でならない。

 

もしあの日が別の98年の5月3日を迎えていたなら(コ・プロデューサーのINAやspread beaverが作ったものとは違う)本来の"Ja,Zoo”を引っさげ、新しいギターで7月からツアーを回り、マリマンとのジョイントライブをZilchと共に行って…と追憶してしまう。

「チャートが壊れる瞬間っちゅーのをちゃんと確認したいよね。当事者としては」

ソロアーティスト・hideが日本のマーケットを如何に壊して新たに作り上げていくか、そしてその先で海外でどういう展開をしていくか本当に楽しみにしていた。あの当時それが出来る能力を備えそこに意識的だったのはきっとhideだけだったと思うから。

「なんちゅーか、洋楽コンプレックスの逆?なんって言っていいか分からないけど、そういうのが逆に海外では武器だなって」

 

あれから20年が経ったけどあらゆる面でhideの様なアーティストは現れていない気がする。今はあの頃と状況も違うし、それは仕方の無い事だとしてもそれでもこれからhideを超えるようなアーティストが現れる事に期待してます。壁が崩れる瞬間は必ず来ると信じて。

 

 

 

 

 

 

 

 

mellow waves /Cornelius

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Mellow Wavesリリース時に出たコーネリアス関連本。 

 

2017年に出たコーネリアスの11年振りの新作。前々作「POINT」から前作「SENSUOUS」が5年掛かっていたからそれぐらいかもうちょっと掛かるのかなと思っていたし、2012年にCM4が出たからもうそろそろかなと期待していたけどまさか11年も空くとは思っていなかった。

その間にもYMOのサポートやらsalyu×salyuのプロデュース、攻殻機動隊のサントラ、NHKの番組「デザイン・あ」の音楽制作やMETAFIVEでの活動もあったにせよ、「まさかもうCornelius名義でアルバム出さないのか??」とすら訝しんでいた。それぐらいのブランクだった。

10年代にどういう音を出すのか興味があったけどもう20年代になっちゃいますよ。って事は10年代最初で最期のアルバムになるんだろうな。

 

かつてのPOINTが「点」をテーマにしていた作りに対し今作は「揺れ(wave)」。

 

 



先ずは先行で公開、アナログカットもされたアルバムの1曲目「あなたがいるなら」。作詞は元ゆらゆら帝国坂本慎太郎氏。6分もあるこの曲の聴きどころはなんと言ってもリズム。ツィッターなどでも話題になってたところだけど一聴すると「変拍子?」と思うぐらいドラムの拍と曲の拍が合っていない。最初はドラムはリズムというより装飾的な役割で適当に叩いてるのかなと思ったけどドラムはドラムでちゃんと拍を取って聴こえるから変だなと思ってるいると、なんとこのドラム曲の拍と綺麗に半拍ずつずれながら進行している。DAW(コンピューター)上でならドラムのトラックだけを半拍ずらして再生させればいいだけの話だけど、これを人力でやるとなるとかなり大変だ。しかもテンポも遅いから余計にリズム取りにくいし。これ、ちゃんとライブでやるのだろうか、いや、やるんだろうなと思っていると先日アメリカのネット放送番組かなんかでの演奏映像が公開されてて(後ほど動画貼ります)やっぱやったんだ、すげぇなってちょっと笑ってしまった。メロディもゆらゆらしてるような拍の取りにくいものなのにドラムもこれじゃ本当に演奏は大変だろうなぁ。

そしてもう一つはややブルージーなギターソロ。でもテンポやバックのオケのせいでそうは聴こえにくい。ギター自体ももろブルージーってわけでもないしね。

  

次曲は「あなたがいるなら」と同時に先行公開、アナログカットもされた「いつか/どこか」。



いつものコーネリアスらしい、アルバム中唯一激しく歪んだギターが聴ける(そう言えばPointの”I hate hate”やSensuousの”Gum”のようなメタル系路線の曲は今回は収録されず)。

この曲も拍が取りにくく、メロディに対する歌詞の譜割りも変なところで切られていたりして思わず「(宇多田ヒカルの)オートマチックかいっ!」と一人突っ込んだり。

 


Cornelius 『いつか / どこか』 Sometime / Someplace (Live)

 

このアナログ盤にはB面にアルバム未収録でこれまた坂本慎太郎氏作詞の「悪くない、この感じ」が収められている。まだ未聴なので凄く気になるところ。

 

「未来の人へ」はこれまた坂本慎太郎氏作詞の歌モノ曲。違う人の言葉で歌うコーネリアスってのも誰かのカバーを歌っているように聞こえて少々妙でもある。あとこの曲はアコギ一本でもっとエモーショナルに歌えばフォークとしてなかなか良さそうな感じがする。groovsionsが手掛けたMVも素晴らしく、今作のMVの中で一番好きです。

 


Cornelius 『未来の人へ』Dear Future Person

 

“Surfing on Mind Waves pt2”は攻殻機動隊のサントラに入ってた曲のバージョン違いで、ドローンという一つの音が途切れずずっと続くインスト。サントラの方は映画に合わせて暗めな感じだけどこちらのバージョンはなんとなくドリーミーな仕上がりに。

サントラ版のpt1

 

今作一番のポップトラック「夢の中で」。MVはgroovisionsによるユニークな映像。全般アニメーションで本人は出てこない。

 


Cornelius 『夢の中で』 In a Dream

音はイントロ部に10年代のトレンドの一つであるchill wave〜vapor wave風味な音処理がなされ、全体的な構成はヴァース/ブリッヂ/コーラスとしっかり“ポップソング”として作られていて、ヴァースは休符を使ったカクカクしたよくベースラインに使われていそうなメロ、ブリッヂでは「心拍数は上昇中」「野生生物減少中」「深呼吸で調整中」など韻を踏みつつ、コーラスでは広がりのある展開へ…と思いきやコーラスにあたるところの最後はまたブリッヂのメロディが出てくる。となると構成的にはヴァース/コーラス/コーラス(2)って捉えた方がいいのかも。曲調としても音色としても前作(Sensuous)に入ってそうな感じ。

リズムも普通(スネアが2拍4拍に入ってる4拍子)ここまでちゃんとしたポップソングってのもかなり久々だし、このアルバムは全体的に地味で淡々(正にメロウ)としてるからこの曲があることでいい清涼剤的な効果をもたらしていると思う。曲順も丁度アルバムの真ん中に配置されてるところからもそういう意図が汲める。

 


Cornelius - In a Dream (remixed by Haruomi Hosono)

 

 

因みにその次に切られたアナログ盤としてリリースされ、B面にはこれまたアルバム未収録(iTunesでの予約販売限定ボーナストラック)の「夢の奥で」という曲だけど、こちらはYouTubeでMVが公開されている。

 



幼少期の本人だと思うけど曲がトラウマチックでちょっと怖い。

 

 

ここからはアナログで言えばB面であるアルバムの後半はこれまた拍子の取りにくいオルガン系とギターのフレーズから始まるミニマルな歌モノ「Helix/Spiral」。リミックス映えしそうな曲。


HELIX / SPIRAL - LIVE @ LIQUIDROOM 7/12

 

今作中最も古い曲らしい「Mellow Yellow Feel」は懐かしい炭酸飲料水「メローイエロー」を思い出してしまう。

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(ドノヴァンの”MELLOW YELLOW”もイメージしたのかな?)

 

ゲストボーカル(LUSH)がメインを取る「The Spell Of Vanishing Loverliness」。何となく曲調とゲーストボーカル参加って点で前作の「Omstart」に近い印象。


Cornelius - The Spell of a Vanishing Loveliness

 

POINT時期の作風っぽいアコギを使った「The Rain Song」と続き、インストの「Crepuscule」でアルバムのエンディングへ。

アルバム最後の曲は毎回如何にもクロージングって感じの曲で閉めますね。

 

 


変則的な構成でのスタジオライブ映像。

 

全10曲で40分。昔で言うと46分テープに綺麗にA面B面入るコンパクトさ。それは本人もかなり意識していたとの事。

攻殻機動隊での坂本氏への作詞の依頼、「METAFIVEにアップテンポの曲を提供したから今作にはそういう曲は除外した」という点でも結果的にSENSUOUS以降、2010年代の集大成とも言えなくもない内容のアルバム。作風としては20年前のFANTASMAと比べるとかなり変化で、老いたというか大人になったというか時間の経過を感じさせる(そう言えばMellowって円熟って意味もあるしね)。

ただインタビューなどで「久々に歌モノがやりたくなった」と発言していたのでてっきり「1stっぽいソングオリエンテッドなアルバムになるのか?!」「今更フリッパーズ回帰みたいな事してもなぁ」とちょっと懸念していたけどさすがにそれはなかった。初期の頃の曲はライブでPOINT以降やってないと思うし、今あの頃の曲やるのも本人としても恥ずかしそうだよなぁ、なんて思うし。

 

「あなたがいるなら」然り、「いつか/どこか」や「未来の人へ」など相変わらず人力変拍子バンドとしても健在ではあるものの、Mellowがテーマだけあって今作は「静」の要素が強い作品だったので次作ではまたガンガンギター弾いて「動」なコーネリアスが聴きたい。特にMETAFIVEの”DON’T MOVE”のコーネリアスバージョンなんて聴いてみたいなぁ。この曲のギター、音やリフ含めてめちゃくちゃかっこいいもんね。

 



最後にオマケで自前の「夢の中で」のインストカバーを。オリジナルの音を使いつつ、ドリーミーって事でI am robot and proud風味のフレーズやヒップホップなどでよく使われる軽めの電子スネアの音などで作りました。初めて聴いた時に「お、カバーしたいな」と思わされたのはやっぱりアルバム中一番ポップで構成もしっかりしているからだと思います(バンドでやるならやっぱり「いつか/どこか」ですね。難しいけど)。逆に「Helix/Spiral」はリミックスしたいなぁ。挑戦しようかな?

 

 

 

globe / globe

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今日は96年、小室哲哉絶頂期に出たglobeの1stアルバムについて。globeは前年にシングル”Feel Like dAnce”(何故aだけが大文字なのか未だに謎。avexのa?)でデビュー。ドラマのタイアップもあったにも関わらずシングルのジャケは丸い赤い玉、MVやアー写すらなくラッパー+ボーカルと小室哲哉参加ののユニットという情報のみの謎めいたユニットとして売り出す。ハイの効いたその歌声から「trfのボーカルなんじゃないか?」と噂され話題になっていたのも未だに覚えている(でも僕個人は全然違うじゃんと思っていた)。

 



デビューと同時期に行われていたa-nationの原型である「TK Dance Camp’95」で初披露されたけど、暫くしてその時のライブ映像が解禁されるまではボーカルがどんな雰囲気なのかとか本当に謎であったし、正式なMVも1stアルバム後の”Is this love”まで作られる事はなかった。恐らく当時チャートを席巻していたZARD大黒摩季などのBeing系アーティストが使っていたプロモーションの仕方を少し真似たのだろう。

その全貌が明らかにされるのは同年末、3枚目の”SWEET PAIN”から”DEPARTURES”がリリースされる頃。徐々に歌番組にも出演するようになりセールス成績も”Feel Like dAnce”のオリコン3位を皮切りに次作”Joy to the love(globe)”では1位、続く”SWEET PAIN”の2位と順調に続いていく。

Joy to the love”はこの頃小室が執心していたJungleを下地に作られている(シングルのB面にはより特化した”Jungle Mix”収録)。この年だけでもあの有名なダウンタウンの浜ちゃんとのユニット”H Jungle with T”やそのダウンタウンの別音楽ユニット「GEISHA GIRLS」にもジャングルなトラックを提供、内田有紀の”Only You”(とそのシングルのB面もジャングルMIX)、安室奈美恵の”Chase the Chance”のジャングルMIX(アサヤンで滅茶苦茶使われてたあれ)などあたかも自分の専売特許かの如くジャングルづくしだった。元々は車のCMに作られるもクライアントから没にされ新たに曲を書き下ろした後やっぱり元の曲でと二転三転したらしい(因みにその時新たに書き下ろした曲が華原朋美が歌うことになる”I BELIEVE”)。この模様は当時放送されていた小室のドキュメント番組で確認できる。



 

さて、元々ラッパーとボーカルのユニットという構想は当時日本でも売れていた”2 UNLIMITED”を参考にしたと小室哲哉本人も言っていた。本家の方もダンスビートにソウルフルな女性ボーカルと黒人系のラッパーの組み合わせで(※当時Green dayの”Basket case”と共に”No Limit”や”The Real Thing”がよくボーリング場などのMVジュークボックスでガンガンかかりまくっていた。今みたいにYouTubeどころかネットがない時代にMVを観ようと思ったら1曲100円でアミューズメント施設にあった映像ジュークボックスで視聴するしかなかったのだ)、世界規模で売れに売れていた。

 

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 在りし日の2 UNLIMITED。

 

小室自身は勿論、ラップなどしたこともないモデルのマークパンサーをラッパーとして引っ張り出し、オーディションで発掘したKEIKOを加えて「オレンジ」というユニットとしてデビューさせようとしていたらしいが、そこに小室哲哉も加わるようになり「globe」と改めてデビュー。一応ラッパー+ボーカルというスタイルは取り入れているものの、曲自体は全然ポップス。

実際Feel〜はAメロはラップで構成しているものの、BメロはいきなりAマイナーの哀愁のあるメロディ、大サビでは小室の伝家の宝刀である転調で盛りに盛り上がる。ダンスミュージックって一定のビートで大袈裟な展開もなくただひたすら進行していくのものであるのに対し、これは構成から何からただのポップスである。この曲に限った事ではないが小室のいうdAnceってダンスミュージックのダンスではない。まぁそれだと日本じゃ売れないしそれはそれで面白かったりするんだけども。

 

そして年が明けた元旦、遂にジャケットにメンバーの顔が登場した”Departures”が発売される。ラップを抜けばこの曲もサビとAメロしかないシンプルな構成で、Aメロはペンタトニック風のスケール+シンコペーションのメロの繰り返しで単調であるのにも関わらず、それが切なくてかなりの美メロ。この曲はサビよりもAメロである。

コード進行もD♭→E♭→A♭(Fm)と簡素。サビもイメージの割にはそんなに動かない。さらに言えばAメロがFmで終わるのにサビもベース音がFで始まるので何かサビに来ても抜けきれないというか展開が地続きみたいに感じてモヤモヤする。さっきも書いた通りこの曲はサビよりAメロと言ったのはここも理由の一つ。JRskiskiのCMソングという事もあり「如何にも冬」ってイメージなアレンジと相まって名曲大決定、200万枚をセールスしぶっちぎりの1位。


globe - DEPARTURES

前年のtrfが記録した3枚連続シングルリリースで全てミリオンからのアルバムが200万枚って前例があった故にこの次に出るとされるアルバムは物凄いセールスになるんだろうなぁと誰もが思っていたはず。

余談だけども当時誰も指摘してなくて個人的に面白いなと思っていたところはFeel〜からFREEDOM(正確にはcan’t stop fallin’in loveまでは微妙に使われている)までの全シングルで必ずファルセットを使うパートがあった事。小室本人が意識してそう歌唱指導したのかは不明だけど、出そうと思えば出せるはずの音域で敢えてファルセットを使って歌うところに他のプロデュースアーティストにはないユニークさがあると感じていた。

 

そして満を持してリリースされたアルバム「globe」は初動売上だけで200万枚を突破し、最終的には455万枚のセールスを記録したらしい(自分もその1/4550000でした)。

蓋を開ければ結局「2-UNLIMITED云々」は単にスタイルにしか過ぎず、年に1枚出す小室哲哉その時の集大成(オープニングには前奏のovertureチューンにピアノソロ曲収録など)、乱暴に言えば前年のtrfの「dAnce to positive第2弾」って感じ。まぁそれも商業的に狙ってたところだし聴き手だって誰もがそれを望んでいたからその結果があの数字なんだと思う。漏れなく収録された全シングルも変なリミックスはせず、アルバム曲としてもシンプルなピアノとボーカルだけで最後はこれでもかと転調しまくりで盛り上げる「Precious Memories」や小室得意の軽快な鍵盤のカッティングが印象的な「GONNA BE ALRIGHT」、ハイトーンなボーカルでポップな「Regret of the day」、少し引いて通受けを狙ったようなマークパンサーメインの「Music Takes Me Higher」など。個人的にはtrfのdAnce to positiveにあったピアノ曲「overnight piano dream」に続くようなラストのピアノインスト「LIGHTS OUT」がもっとドラマチックなものだったら良かったのになぁ、とそこは不満だった。

“FRERDOM”みたいにちょい社会派的な歌詞もあるけど今作はとことんポップ。次作「FACES PLACES」から取り入れることになるオルタナティブロックの要素に伴って歌われる歌詞の世界観もダークなものになっていくのに対しこのアルバムは終始普遍的というかそこら辺にいる普通の女性(もっと言えば20代くらいのOL)の日常や心情が歌われている。小室もロン毛になったりKEIKOなんてまんまNO DOUBTのグェン・ステファニーみたいな金髪の髪型とメイクになっていくのに対してこの頃までのKEIKOはどこにでもいそうな普通の女性って感じだったし。

特にGONNA BE ALRIGHTの主人公の年上のお姉さんやその曲調は、リリースと同時期に放送されていたキムタクと山口智子主演のドラマ「ロンバケ」の雰囲気にもリンクしたり、regret of the dayや他の曲も何処と無くテレビか作るあの時代の雰囲気とマッチしてたように感じていた。テレビから流れてくる「東京」の情景や生活臭というか。

個人的にも今でもglobeって1stの頃にあった「普通っぽさ」が好きだなぁ。小室作品の中でも"Feel Like dAnce”と”DEPARTURES”はベスト10に入るくらい好きだし、後の作品にはない軽さもいい。まぁ色々他にも言いたい事はあるけれど(特に歌詞)そこはまた後々書こうと思います。

 

では初期のインタビューとスタジオライブ映像で締めたいと思います。